
GMOインターネットグループの熊谷正寿代表は2026年11月2日、FX自動売買などに使われるVPS「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスについて初めて記者会見を開き、「お客さまをお守りすることができず、誠に申し訳ありませんでした」と謝罪しました。熊谷氏は「本サービスのシステムにセキュリティ上の問題があったことは事実」と認め、グループのGMOサイバーセキュリティ byイエラエの専門家が2024年にシステムの課題を指摘していたにもかかわらず、「サービスの運営に活かすことができなかった」と述べました。
会見で示された侵入の経緯:山下浩史副社長の説明によると、攻撃者は8月5日にリモートデスクトップ経由で顧客のVPSに侵入して管理者アカウントを窃取し、8月17日に管理サーバーへ侵入、9月20日〜10月14日に顧客VPSへマルウェアを配布しました。一方、弁護士ドットコムニュースは最初の侵入を8月20日と報じており、熊谷氏も侵入経路はフォレンジックで正確に確定していないとしています。GMOは10月19日の顧客からの問い合わせを受けて調査を始め、20日に不正なプログラムを確認、21日に全プランのサーバーを停止しました。影響を受けた可能性があるのは最大26,739件で、GMOはこれが不正アクセスが確認された数ではないと説明しています。
これまでの被害:GMOは10月24日に顧客情報の外部持ち出しを確認しました。VPS上に保存されていた取引口座のログイン情報が悪用され、不正な取引が行われています。金融担当相は10月27日時点で、FX事業者5社から顧客被害の報告があったと述べました。攻撃者は約80億円を要求し、顧客PCへのランサムウェア攻撃を予告したうえで、顧客のものと称する情報を公開しました。GMOは要求に応じないとしています。10月28日時点で、回収した顧客PCからマルウェアや暗号化の痕跡は確認されていません。被害口座数や被害総額は公表されていません。
補償:不正取引による実現損失の全額補償(申請方法は11月6日までに案内)、現在の利用者全員へ一律5,000円の見舞金、情報の公開が確認された場合は最大300万円の特別見舞金、ランサムウェア被害者には同等性能の新しいPCの提供、代替サービスの6か月無償提供です。熊谷氏ら役員4人は減俸(熊谷氏は3か月間30%)となります。GMOは犯人特定につながる情報に最大100万米ドルの懸賞金を設けており、会見時点で約700件の情報が寄せられました。
攻撃者は特定されていません。共同通信は北朝鮮が関与した可能性を報じましたが、熊谷氏は分析結果を関係機関に報告したとしつつ、捜査中のため国名は挙げられないと述べました。なお、GMOのセキュリティ部門は中国製のAIペネトレーションテストツール「Artex」が国内企業への攻撃に使われたと報告していますが、本件との関連は示していません。

